8月2日、午後休を取り、阪神ファンの友人とハマスタで野球観戦をした。
この友人とは、2019年9月3日の雷中止になったベイスターズ阪神戦以来なので、5年越しというか、5年ぶりの観戦ではあった。
阪神青柳の規定回数が掛かりつつ、当時は代打の切り札だった佐野恵太が華麗なダンスをみせた「あの試合」以来の野球観戦。
www.youtube.com
その後コロナ禍がはじまり、リベンジ観戦はしばらくお預けになったけれど、青柳は2022年の最優秀防御率で最多勝投手、佐野恵太はベイスターズのキャプテン、友人の仕事は順風満帆。
変わらないのは私だけ。みたいな感じだったけれど、私だって、危うい時期があったなりにも、壊れなかっただけ良かったのかな。
試合前は友人と福富町の丿貫(へちかん)で煮干蕎麦を食べた。
丿貫には、雑多な立地に立ってる所も含め、一度お連れしたかったんだよな。
今回はベーシックな煮干蕎麦にしたけれど、数年前の土用の丑の日には「ウナギそば」という、濁っていないのにウナギの味がする不思議なそばを出したり、秋に出すサンマのそばや、冬のあん肝そばも好き。
味も美味しいけど、調理過程に思いを馳せながら麵をすするのもまたオツなもんで良い。
この日の試合は3塁側内野B席から観戦した。
ベイスターズファンと阪神ファンが1:3~1:5くらいで入り乱れる3塁側内野席。
しかし以前、阪神ファンが子供を抱きかかえた上で、ハンマーのようにベイファンに向かい投げつけたコロナ禍前の事件もハマスタ3塁側だったし、阪神戦のハマスタ3塁側は非常に混沌としがちだ。
www.sankei.com
今回の席の後ろには、それぞれ別で厄介そうな、ベイスターズファンと阪神ファンがいた。
ベイスターズファンの厄介オジサンはベイスターズが不利になってくると「横須賀帰れ」「エンタメ辞めろ」「というかエンタメ演出でよろこぶファンもいい加減にしろ」と、自軍に対する愚痴をネチネチ。
一方対する阪神ファンの厄介オジサンはベイスターズのチャンステーマ「攻めまくれ」の「絶対勝つぞベイスターズ」に対し「うるさい黙れベイスターズ」とドスの利いた声で吠える。
一触即発……というか、主にベイスターズファン側が気を遣い、対戦相手を刺激する物言いを避けてるのは察するけれど、どちらにせよ穏やかではない、ヒリついてる。
というか試合以上に背後の展開にヒリつく。
そして8回裏1アウト一三塁の所まで投げた村上に代わり、セットアッパーの石井が登板した所から、阪神側厄介オジサンのキャラが急変した。
「石井ちゃ~~~~んんんんんん!!!!!」「石井ちゃん大丈夫だからね!ね!安心して!!!!!」と、オネエ口調で叫んでいる。
そうか、このオジサンは石井大智を猛烈に愛しているオジサンなのか。(略称:石井ちゃんオジサン?)
2023年の横浜スタジアムには、今永昇太の登板時(しかも複数試合で)女性アイドルに声援を送る男性ヲタクのような独特な抑揚で「イマァナガァ~~~!」と声援を送るオジサンもいた。
でもこの石井ちゃんオジサンは、オラオラからのオネエ口調の振り幅が強烈過ぎた。
確かに石井大智は175cmとプロ野球選手としては小柄ながらも力強い直球を放つギャップがあるし、どことなく女形ふうの化粧が似合いそうな顔立ちもしていて、もしかしたら屈強そうな殿方すら狂わす強烈な色気があるのかもしれない。
そしてセットアッパーとして登板時から窮地を背負わされる役割に対しても、
「こんな可愛い子に、こんなピンチを背負わせないでよ!!!(妄想)」
などど、簡単に石井ちゃんオジサンのオネエ口調が脳内再生され、瘴気で頭がクラクラしてきた。阪神ファンの友人も若干混乱している。
「石井ちゅぁ〜〜〜〜〜んんんんんん!!!!!!!」
……しかも通路を挟んで前のブロックでは、阪神のレプリカユニフォームを着ているのに、軽く立ち上がり、ベイスターズに声援を送っている青年もいた。
宮崎敏郎の応援歌を歌っていた時は「好打者だし、敵ながら宮崎敏郎のこともすきなのかな」と思ったけど、それだけでもなさそう。
三塁席でも誰より威勢よくベイスターズに声援を送る青年。どっちファンなの?
阪神ファンなのにベイに便乗して「阪神倒せ」と言っていいの?
2-4でビハインド状態だから憐れみをかけている?いやまさか。
「ねぇ、おかしいよね?」
と、後ろに聞こえない程度の小声で友人に声をかけると、頷いた友人。どうやら私ひとりの混沌ではなかったようだ。
しかしスタジアムに鳴り響くチャンステーマの中「野球ファンが高熱の時に見る夢はこんな調子だろうか」などとも感じつつ、8回裏のピンチでチャンスは、今夜のピークだった。
石井大智は8回裏1アウト一三塁を、2アウト満塁にしたところで降板し、代わりに左腕の桐敷が登板したけれど、石井の降板と共に、石井ちゃんオジサンも席から去っていた。
結局ベイスターズは満塁でも追加点を取れず、この日は2-4のまま阪神が逃げ切った。
試合後は偶然ハマスタに来ていた、共通の友人(ベイスターズファン)と、駅前のガストで飲み食いした。
ピザの顔面にナイフを入れながら「ヒドい試合だった」と笑い飛ばした。
9連敗中のベイスターズも相当ヒドいもんかもしれないけど、今日の感想としては完全に客席に食われた。
高熱の悪夢のような試合も、酒が入れば「たのしげな幻覚だった」と変換されるようで、不思議なもんだった。
今夜は横浜阪神戦における、5年分の混沌が襲い掛かったかのような試合だった。また来年も懲りずに誘おう。