(前回の旅日記のつづき)
大垣の宿で目を覚まし、無料の朝食を食べ、ぼんやりと朝を迎えた。
昨日ビショビショになった服も、スニーカーも、素知らぬ様子で朝を迎えており、持ち主に似てなんとやら。
グシャグシャになった大谷翔平(が一面に載ったスポーツ新聞)を詰め込まれ、一夜を過ごした私のスニーカー。裏をめくると、ベイから中日に移籍した、細川成也もいたようで「ここは東海圏なのだな」としみじみ思う。
宿を出て大垣駅前をぼんやり徘徊する。
コートも着ず、GAPのパーカー1枚でふらっと来たので流石に寒い。
口を開けば訛りも無いので「よそ者」だってバレそうだけれど、ここまで気の抜けた格好をしていると、まさか旅の人と思うまい。
大垣~岐阜~岐南
岐阜駅から先は名鉄に乗った。休日の名鉄岐阜駅はのどかでよい。
名鉄本線の終着でどん詰まった、名鉄岐阜駅のホーム。
二面四線に電車たちがひと休みしながら、折り返しの発車を待つ。赤い電車の中には焦らぬ客もいる。
岐南駅の内角の和を求めてきそうな部分。
ペジェ曲線ってこういうのだっけ。
お腹の空く地名。
「むかしながらの洋食」に対抗し「あたらしい印食」とかあるかな。
養心薬湯。
熱めのピリピリ薬湯、アチアチのボナスチーム薬草サウナ、水質やわらかめの水風呂+白湯が、タイル張りの浴場に並ぶ。
銭湯スタイルというか、比較的ミニマム寄りにも感じるけれど、薬効はヒシヒシ感じる。花粉症もすこし軽くなったような。
懐かしい雰囲気のある館内。
鳥たちが羽ばたいたら「ロート製薬」のCMにでもなりそうな青空に水色。
この時点で既に「薬効のメタファー」なんだろうよ。
でもやっぱりのここのスチームボナサウナと薬湯、最高だな。何度でも行く。
養心薬湯に寄ったあとは、読みかけの三島由紀夫「金閣寺」を読みながらダラダラと鈍行でヨコハマに帰った。
読みながら三島由紀夫の人生の末路まで透けて見えるようで不吉な。でも読む手は進んでしまう。
夕飯は上大岡で家系ラーメンを食べて帰った。特にご当地グルメのようなものも食べず、ほうれん草多めで、日常食に軟着地した。干からびた身体に塩分と水分は沁みた。